◆セミリンガルに関する誤解

バイリンガル子育てを考える際に、
一番気になること・・・

それは「セミリンガル」になるのでは?
ということではないでしょうか?💨

いわゆる、幼少期から英語教育を始めることで
日本語も英語もどっちつかずになるのでは❓
ということです😥

バイリンガル育児についてある程度
調べたことがある人であれば、
おそらく聞いたことがあるであろう
セミリンガル」という言葉ですが…
ことばが独り歩きしすぎて
言語学の世界ではもうほとんど
使われることはないそうです💣

ところで、「セミリンガル」という言葉は
1960年代にHansegardというスウェーデン人が
作った言葉らしいです💡

フィンランドからの移民の子どもたちが
スウェーデン語とフィンランド語のいずれも
うまく使いこなせていなかった状況を見て
セミリンガル」と表現したようで、
そこからその言葉がメディアで多く
取り上げられるようになり世に知れ渡りました❕

過去のブログでも触れたことがありますが
バイリンガル」という言葉には明確な定義がなく
人によって解釈が異なりますが、同じことが
セミリンガル」にも言え、実は言語研究者の間では
長年物議を醸してきた言葉なんだそうです😱

どの程度が「セミリンガル」なのか、
明確な基準がないんです🙁

そして、この頃から一部の言語学者の間では
セミリンガル」にならないためには
第二言語の習得は母国語がしっかり身に付いてからと
提唱されるようにもなったそうです😢

※昨今の研究ではバイリンガル育児には、"simultaneous bilingualism"
と言って
0歳~3歳までの間に第2言語も母国語と同時に習得する方法と、
"sequential bilingualism"と言って母国語ができるようになってから
第二言語を習得する方法があり、どちらも正解・不正解はありません。

残念ながら、日本ではその部分だけが切り取られ、
第二言語の早期習得は「セミリンガル」を招くという
ネガティブなイメージが多くの日本人の頭の中に
植え付けられているような気がします💦

セミリンガル」という言葉が広く知れ渡る前から、
アメリカにはヨーロッパなどから多くの移民が移り住み、
その子どもたちの中には、母国語に第二言語(英語)
の両方が中途半端で使いこなせていなかった子たちが
一定数いたということは実際に報告されていたようです😵

そして、移民の子どもたちの間で自然と
"code-switching" (ルー語)がよく起こることからも、
2つの言語を同時習得することはネガティブなイメージが
つきものだったようです💀
※例「私はスクールに行く」のように1つの文に二言語が混じること。

昨今では、その現象(ルー語)は、2つの言語を
同時に習得する上で起こるごく普通の現象であり、
大きくなるにつれ徐々になくなっていくため、
心配する必要はないとされています🍀

そして、セミリンガルに関する情報で抜けている
最も重要なポイントは、
セミリンガルになる原因は
幼少期のバイリンガル教育ではなく、むしろ社会的・
経済的な要因が
大きいということです❕

セミリンガルになりやすいのは、
母国語がその社会で少数派で、母国語が周囲の多数派の言語に
置き換わる場合と言われています💥

(母国語の学習が停滞してしまう)

例えば・・・
メキシコからアメリカに渡った移民の子どもが
母国語であるスペイン語(少数派)を学ぶ機会を失い、
言語が英語(多数派)に取って代わってしまった。

幼少期に母国語がまだ発達段階で、母国語の代わりに
第二言語を習得することになった子どもたちが、
セミリンガルになってしまったのです😱

第二言語の能力が母国語を超えることはないので、
母国語がままならない状態で子どもを取り巻く環境が
第二言語に切り替わるとどちらの言語も
伸び悩むのは想像できますよね💨

ここで押さえておきたいポイントは、
このケースは社会的背景により少数派の言語である
母国語が発達段階で排除され、多数派の第二言語
取って代わってしまったという点です💡

日本のように日本語が圧倒的多数派の社会で、
日本語を学ぶ機会を取り除き英語に置き換えることは
そう簡単にできることではありません!

極端に日本語を生活から排除して、
英語を優先させるようなことをしない限り
日本社会ではセミリンガルは起こりにくい
ということになります🤓

 

また、セミリンガルは親の識字率が関係しているという
論文があります💡

言葉を習得する上で「読書」は大切と言われるように、
文字の読み書きができないということは、
良質のインプットができない原因になります😓

言葉の習得には量・質ともにインプットが
最も重要な要素であり、そこが欠けると
セミリンガルになりやすいのでしょう💦

移民の子どもたちの中には母国語も第二言語
使いこなせないセミリンガルが一定数いたことは
事実ですが、それが幼いころから二つの言語に
触れていたことがその直接的な原因ではありません❗️

社会的・経済的な理由が大きく影響していますが、
その事実はあまり日本では知られていないように思います🤔

そして、今このブログを読んでくださっているような
教育熱心なご両親のもとで育ったお子様においては、
セミリンガルとは程遠い関係なのではないかと
個人的には思いますが、いかがでしょうか❓

幼少期から第二言語を習得するメリットは多いのに、
セミリンガルに関する誤解によって
それが謙遜されている現状については
もったいない気がしてなりません😥

どうかこの誤解が少しずつ解かれ、
幼少期の英語教育がポジティブに捉えられる
社会になりますように✨

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました🌈